マイルCS雑感

 まだ出走馬が決まりきっていないので、確定ではないけど多少思うところを。富士Sが始まる前の段階ではここを一叩きしたサイドワインダーが◎で固いと思ってた。正直今のマイル路線で一番強いと思っているのがこの馬。京都1600でも上がり33.9で差しきった京都金杯の優秀なパフォーマンスがあり、舞台適正の面からも死角は見受けられない。が、この馬の問題は10ヶ月ぶりの実戦となった富士Sであまりにも走りすぎたこと。ハイペースだったとはいえ1.32.4の猛時計では本番前の消耗が激しすぎる。こういうときは往々にして凡走するもの。歴史を振り返っても富士Sで好成績をあげた馬の本番での信頼性は著しく低い。これは富士Sがタフな東京マイルで行なわれることに加え、例年レベルが高く激戦になるため、しっかり走ってしまった馬の本番への余力がなくなってしまうことに起因しているのではないかと思う。去年富士Sで全く競馬をしなかったトウカイポイントが勝ってしまうあたりはこの理論の証明となるのではないかと(去年の舞台は中山だったけれど時計は恐ろしく速かった)。というわけで今年もそれを踏襲。サイドワインダー・ミレニアムバイオはいっそ切り飛ばして他の馬に目を向けたい。




 続いてもう一つのトライアルレースであるスワンS組。基本的にスワンSはスプリンターのためのレースなので、ここを使ってくるような馬はまずいらないと考えていい。が、タイキトレジャーやリキアイタイカンなど人気薄の馬が3着にくる例はあり、極端な人気薄になっている時には一応警戒を払いたい。上記二頭の共通点は内枠で距離のロスが少なかったこと。また、スワンSを先行策で好走した馬は距離延長の本番では力尽きるので、スワンSを追いこんで負けたテイエムサンデーかイルバチオが内枠をひくようなら穴の気配。特にテイエムサンデーは京都実績が豊富で注目したい1頭。




 厳然たるマイル王が存在しない近年では、昨年のトウカイポイントエイシンプレストンのようにむしろ中距離実績の方に偏っている馬が勝ってしまうケースが多い。アグネスデジタルゼンノエルシドキングヘイローダイタクリーヴァ。全て1800〜2000に実績のあった馬である。というわけで天皇賞毎日王冠組は富士S組よりも注目すべき存在。ロサード・バランスオブゲームは血統的にもマイルCSに有利なリファール・ニジンスキーの血を持っているため、出てくれば当然面白い。イーグルカフェも鞍上が藤田に変わって不気味。安田記念の足を考えればここでも突っ込みは警戒しなくてはいけない。カシオペアS組では何といってもアンカツ騎乗のエイシンチャンプ。京都実績・中距離実績も豊富で父はアグネスデジタルリキアイタイカンと同じミスプロ系、母父はキングヘイローエイシンプレストンの母父と同じリファール系と、血統的にもビタリ。現在の段階では最も好走条件が揃っている馬と言わざるをえない。うーむ、人気しないで欲しい。




 その他の路線。デュランダルは過去のスプリンターズS勝ち馬に比べると多少距離の融通がきくような気がするが、やはりあまりにも斬れすぎる。マイルCSはスプリント的な一瞬の斬れ味勝負にはならないので、末脚は確かに脅威だが持続力に疑問符がつく。展開向いてもよくて入着か。テレグノシスは1800に実績もあるし、同じトニービン×ノーザンテースト配合のノースフライトも勝った舞台で適正は問題なし。海外帰りという特異な例ではタイキシャトルジャック・ル・マロワ賞帰りで勝っているので(かなり規格外な例だが)、前走の成績云々よりも当然走れる状態にあるかどうかだろう。調教を見ないと結論は出ないが人気薄なら▲ぐらいにはしたい。




 最後に外国馬。エリ女でタイガーテイルにあってアナマリーになかったものとはズバリ「持ち時計」であり、去年のJCのサラファンファルブラヴも2000Mに速い時計を持っていた。芝レースに出走する外国馬の場合、判断基準は常に「持ち時計」を重要視するべき。それを考えると今回のスペシャルカルドゥーンとトゥスールの時計はあまりにも遅い。遅すぎる。1600の最高タイムはスペシャルカルドゥーンが1.34.6で、トゥスールが1.38.1である。未勝利戦か!32秒前半を叩き出すマイルCSでは到底買えない二頭と言える。