砂のダービー

 100年に一度の女傑誕生の興奮も覚めやらぬ今週は、こちらもまた楽しみな砂のダービー・ユニコーンS。先週の欅ステークスで、51キロだったとはいえバリバリの古馬オープンクラス相手にトロピカルライトが2着ということを踏まえても、今年のダート戦線はかなりレベルが高いように思える。フェラーリピサシャドウストライプロングプライド・ディオスクロイ・ドラゴンファイヤービクトリーテツニーコマンドールクロス・スクリーンヒーローエスケーカントリー・ホワイトメロディー…うーん、ヨダレが出そうな好メンバー。中でも3強を形成しそうなのがフェラーリピサシャドウストライプロングプライドの3頭。この中でまず疑うとしたらシャドウストライプか。京都の2戦で差してあれだけの競馬をしている以上、距離で云々というのもあれだが、やはりマイルでの信頼度不安なバクシンオーというところには突っ込まざるをえない。ただこの馬のレースぶりを見ていると、バクシンオーというよりは母父ガルチの方が強く出ているのかなとも思う。代表産駒イーグルカフェNHKマイルカップ勝ち、武蔵野ステークスクロフネの2着、安田記念でもあわやの競馬と東京マイルには十分な実績。シャドウストライプを「バクシンオーだから」という理由だけで消すのは愚策と言えるか。差しの鋭さで言えば前走圧巻のロングプライドも互角以上だが、まだ大したへぐりもしていない河北を重賞だからと武に変えてしまうその非情さ、予定調和とはいえ辟易とする。このような無粋かつ時代遅れの戦略を選択したロングプライド陣営には罰が当たって然るべきだと思うので、自分自身の美観と照らしてここは全く馬券から外す。河北だからこそ、この馬を買いたかったのだ。チャンスを掴んだ三流騎手の瀬戸際の人間力とでも言うべきものを見たかったのだ。またしても功利主義が勝負を寒々しい、白々しいものへと変えてしまう、その場面を見てしまった。勝負の神は、ロングプライドを断罪する。

 

 というわけで残るはフェラーリピサということになる。ヒヤシンスステークスで余裕綽綽で1.35.9、前走もかなりのハイペースを我関せずと途中からマクって圧勝、恐ろしく強い。芝もこなせるヴァイスリージェント系はこのコースにピタリだし、ハイペースにも適正あり、別定57キロというのが唯一の不安材料だが、それも杞憂に終わるぐらいの勝ち方をするかもしれない。ロングプライドが一番人気に押されるようならこちらの単で勝負ということになるが果たしてどうか。連下にも面白い馬がたくさんいるが、とりあえず抽選を待ちたい。